エアーズのウクレレがラインナップに登場しました。Ayersウクレレのこだわりを説明いたします。
ウクレレでソロを弾くとメロディーが歌っていて気持ちが良いのです。ちょうどギターは男性ボーカルでウクレレは女性ボーカルのようです。
しかし,普段ソロギターを弾いていて,ウクレレ・ソロを弾いてみるといくつかの点で不満も出るのです。
私と同じように感じる人ギター弾きは少なくないと思います。その原因は何でしょうか?
それでウクレレの問題点を研究した結果分かった事は,ウクレレに求められるものはギターとほぼ変わらないのです。しかし,多くの場合それが省略されているためにギター弾きがウクレレを使うと不満が残ることがわかりました。
歌の伴奏で簡単コードだけを弾くなら低価格のウクレレでも良いのかもしれませんが,ソロ・ウクレレとなると楽器として成立している必要があります。低価格のウクレレに生じる問題はこのようになります。
1 オクターブ・ピッチが合わない。
2 トラスロッドがないためネックの反りが適正にならない。
3 音色の深みが足りない
4 ハーモニクスの伸びが足りない
5 外観がシンプル過ぎる
これらを改善する方法を探りました。
1 のオクターブ・ピッチの問題は深刻です。ギターなら1弦から6弦に向かって太くなるので,サドルを斜めにセットするだけで良いのですが,ウクレレは1-3弦が徐々に太くなり,4弦がまた細くなるのです。
3弦が太く,4弦が細い。この弦の太さの違いにより12Fのオクターブ・ピッチを合わせるにはサドルの山で弦長を補正する必要があるのですが,太いの次に細いが来るためソプラノ・ウクレレでは3.5mm幅のサドルでないとピッチが合いませんでした。
コンサート・ウクレレの380mm弦長なら2mmサドルでもほぼ大丈夫です。特に試して頂きたいのが,4弦開放のGと3弦7FのGです。これが合わないとソロ楽器としてかなり苦しいものになります。
2 ほとんどのウクレレにトラスロッドがありません。でも実際に弦を張った状態で,定規を当ててみると意外にアップボウ(順反り)が強いのです。そうなると12F以降のフレットが高い状態になり,ギターでいうネック起きの状態になります。多くのウクレレは強く弾くと12F辺りから音がバズってしまいます。
これを解決するには指板の14-20Fにフォール・アウェイを付ける必要があります。さらに弦を張った状態でのフレット擦り合わせも欠かせません。これにより倍音はよりクリアーに聞こえ,全てのフレットで音が出る状態になります。
結局調整の方法はギターとほぼ同じなのです。
3 音色の深みについては構造倍音が解決してくれます。マーチンのスタイル5が持つようなオルゴールのような倍音はギターにはない素晴らしさでもあります。 実際にギターとウクレレの最大の違いは,ウクレレの基準音が1オクターブギターより高い事です。これはメロディーを弾く上で非常に大切なのです。
具体例で考えましょう。楽譜の下第一線のドは,ピアノの真ん中鍵穴付近のドで,C4と表現しましょう。
ギターでは楽譜の下第一線のドは5弦3Fのドで弾きます。
これはC3なので,C4のドは2弦1Fになります。なので,ギターではカポ5にしてGコード弾けば,Key Cとなり,C4と同じことになります。これで初めてピアノと同じメロディになります。
ギターのカポ5,これがまさにウクレレなのです。
ウクレレのメロディーが歌っているように聞こえるはピアノと同じC4のドだからなのです。ギターは1オクターブ低いためにソロギターが少し暗い音楽になってしまうのです。
なので,ウクレレソロは非常に美しい音楽を作る可能性を秘めており,他の楽器とのセッションもしやすいのです。
この1オクターブ高い音に倍音が入るので,オルゴールのような高い音まで聞こえて来ます。これが倍音ウクレレの凄さと言えます。ギターが出せない高い声を持っていると考えて良いと思います。
つまりギターは男性ボーカルでウクレレは女性ボーカルと言えるのです。
4 低価格のウクレレは設計思想があまり深いものではない場合もあります。つまり簡単な楽器という位置付けでソロ演奏を中心に考えていない場合も少なくありません。ウクレレのブレイシングはほとんどが簡単なものかファンブレイスで,シンプルなものです。音の伸びや表現力を考えるとエックス・ブレイシングのメリットも捨て難いものがあります。
Ayersではこの度エックス・ブレイシングを採用しバランス良く美しい響きを感じさせ,ハーモニクス音の美しさも聞き取れます。
5 ウクレレはシンプルなものよりもっと個性のあるデザインを感じさせるものが良いと考えます。そのためにワンポイントのインレイを採用したり,KOAにアバロンの組み合わせで美しく感じさせるのがポイントです。
ハワイの文化からウクレレが発展したことに敬意を払いハワイの花ハイビスカスをヘッドに入れたもの,猫のデザインを使用したものや,伝統的スノーフレイクスを採用したものなどがあります。
これまでの少し簡単な楽器という位置付けから,ソロギターを弾く人が満足出来る楽器としてのウクレレを目指したAyers ウクレレUCシリーズ。OTS2.0を搭載でどの楽器と比べても圧倒的な倍音の効果を感じていただけると確信しています。
OTS3.0を搭載したバージョンはオーダーのみですが,別次元のサウンドです。楽器としてのウクレレを求めている方にはぜひ一度テストして頂きたいと思っています。Ayersウェブサイトの取扱楽器店からお近くの楽器店へご連絡してみてくださいませ。試奏用のウクレレをお試しいただけるように手配いたします。
ぜひ倍音の聞こえるウクレレをお楽しみください。
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